消費税引き上げの消費抑制効果は観察されるのでは(追記あり)

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いつも参考にさせていただいているブログの記事でちょっと気になる記載があった。いつもはブコメで済ませて終わるが、検討に使ったグラフを残したかったので記事を起こすことにした。

 

 

上記記事では、

 

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このグラフを示した上で、「増税で実質所得は減っているわけだが、駆け込み需要の反動の解消後から伸びていないだけのようだ。」と結論づけている。

実際に商業動態統計の数値を見てみると、毎年3月と12月に大きく伸びるなど季節変動が大きそうに見えたので、前年同月比のグラフを作成してみたのが以下のもの。縦軸の単位は前年同月比の%。なおCPIを用いて実質値にしてある。

 

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消費税が8%になったのは14年4月。消費税増税後は、一度も前年同月比100%に達していない。しかも、95%付近をうろうろしており、順調に減少しているようだ。

ちなみに、第2次安倍政権発足後の底打ちは13年4月頃ということになる。

 

より個人消費に直結していると考えられる小売業でも同様のグラフを作成した。

 

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同様の傾向が見られる。

 

してみると、元記事のグラフでは、前年平均を100ととっている以上、数値が100に達しない限り消費は減少していることになるはずであるのに、98付近に線を引いた上で「2012年10月から2013年1月までの水準で横線を引いてみたのだが、2014年9月ぐらいにはその水準までは回復している。」と読んでしまったのがいけなかったように思われる。

こうなると、商業動態統計は実質雇用者報酬のトレンドと反対を行っていることになり、理由が気になる。

 

《追記》

 

消費税引き上げの消費抑制効果は観察されるのでは - allezvous’s blog

駆け込み需要のある2013年平均には達していなくても、2012年末には達していると指摘するために、100より低い所に線を引いたのです。

2016/03/17 21:20

b.hatena.ne.jp

13年から14年3月は駆け込み需要に過ぎないとなると、12年末の前年平均比あるいは前年同月比98%で徐々に縮小していくのが本来の姿ということになるが、本当にそこまで言い切れるのだろうか。10年以降は、リーマンショック以降の緩やかな回復期で、東日本大震災のショックを除けばおおむね102%程度で推移しているように見えるのだが。

 

 

消費税引き上げの消費抑制効果は観察されるのでは - allezvous’s blog

政策減税による実質雇用者報酬のトレンドと商業動態統計におけるインバウンド需要の反映がどのようになっているのだろうか

2016/03/18 09:47

b.hatena.ne.jp

商業動態統計の調査事項を見ると、商品販売額・サービス売上高を販売先ごとに区別していないようなので、インバウンドはそのまま反映されているとみられる。*1

 

あと、元記事のブコメで消費税増税分がそのまま落ち込みに繋がっている旨の指摘があったが、商業動態統計は消費税も販売額に含んでいるので、増税分落ち込んでいるように見えるのはたまたまということになる。*2