「音楽の母」が真にふさわしいのは誰

前記事で、「ガールズシンフォニー」にヨハン・ゼバスティアン・バッハ(以下「J.S.バッハ」)が登場したら「音楽の母」になりそうと書いた。もともと「音楽の母」だったヘンデルはどうなってしまうのか。*1

 

とはいえ、「音楽の母」ヘンデルというのは、どうやら日本だけの俗称らしい*2。いっそ別の人を音楽の母と呼んでもいいのでは。ということで、誰がふさわしいか考えてみる。

*1:LGBT的な何かからすると両親とも母でおかしくないから別にいいのだろうか。あのゲーム何でもありだからいいか

*2:英語mother of musicでもドイツ語Mutter von Musikでも、検索結果には全く引っかからない

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「ららら♪クラシック」に別れを告げる日

「ららら♪クラシック」(以下「ららら」)の司会が交代するらしい。

 

http://www.nhk.or.jp/pr/keiei/otherpress/pdf/20170216.pdf

 

このクラシック業界でも大して話題に上らない「ららら」は、NHKで放送されているクラシック音楽エンターテインメント番組だ。

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グーグルストリートビューで巡るローマ三部作聖地巡礼その3 ローマの祭

Feste Romane ローマの祭(1928)

 

ローマでは常に何らかの祭が催されているが、レスピーギは古今の祭から聖俗取り混ぜて4つの祭を取り上げた。キリスト教が迫害された古代ローマ時代、ローマがカトリックの本拠となった時代から現代に至るまで、様々な祭が活写されている。

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グーグルストリートビューで巡るローマ三部作聖地巡礼その2 ローマの松

I pini di Roma ローマの松(1924)

 

 

ローマの遺跡にはしばしば松が生えている。不死の象徴とされる松は、古代からローマ市民に愛されてきた。ヴァティカン美術館の中庭に置かれているピーニャ(松かさ)はかつて噴水としてパンテオンの横に置かれていたし、現在のヴェネツィア広場にも松かさの噴水が設置されている*1*2

松は遺跡だけでなく至る所にある。イタリアカサマツは日本の松とは違い、ひょろ長い幹のてっぺんにこんもりした葉が生えている。
交響詩「ローマの松」は、ローマ名物の松を周囲の情景とともに曲に仕立てたものだが、同時に、松を通じて思い起こされる歴史的な風景も織り込んでいる。

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グーグルストリートビューで巡るローマ三部作聖地巡礼その1 ローマの噴水

はじめに

クラシックの曲には、音で風景や人物といった絵画を描くようなジャンルがあり、交響詩組曲といった名称で呼ばれている。その中に、レスピーギの作曲した交響詩、『ローマの噴水』『ローマの松』『ローマの祭』の、いわゆるローマ三部作がある。

これらの曲は20世紀の戦間期に作曲され、ローマ市の様々な名所や情景を音で描いている。レスピーギの師匠はロシアのリムスキー=コルサコフで、この人は卓越した管弦楽法で知られており、グラズノフストラヴィンスキーの師匠でもある。
ローマ三部作は、ローマを描いた曲で、何も見なくともそれなりに、解説を読めばさらに情景が浮かんでくる分かりやすい曲だが、それぞれの曲が具体的にどこの何を表しているか、Google先生の力を借りてできるだけ詳しく見ていこうと思って調べたので、その結果を記しておく。


Fontane di Roma ローマの噴水 (1916)

 

 

古代ローマでは、皇帝の務めたる市民への貢献として、多くの浴場が建設されていた。風呂のための水は、水道で運ばれた。水道の水は市民の上水道ともなり、噴水の水ともなった。西ローマ帝国が滅んだ後も、水道施設は長く使われた*1
現在も、ローマ市街には噴水が大量にある*2。ペットボトルの水は高いので、街角の噴水にわいている無料の水を飲むとよいというのは、みな知っている。
ということで、ローマ名物の噴水を、周囲の情景とともに曲にしたのが、交響詩「ローマの噴水」となる。以下に示す斜体は作曲者自身の解説、カギカッコはその日本語訳*3

*1:厳密には、14世紀に壊れ、15世紀に復活したようだ

*2:約2000基あるとされる。Wikipedia英語版では、要出典情報ながら世界一噴水の多い街とされている https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_fountains_in_Rome

*3:がんばって自力で訳した

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